澄んだ水ときれいな空気

長野県で依存症について考えています。

みんなはもう一度会いたいって言うけどまた別れるのは嫌だからその日が来るまではがんばって生きていくね。

その日が来たら必ず迎えに来てね。大好きなトーストたくさん持っていくから。みんな私を送る時にはパンとバター持たせてね。

手作りパン屋さんじゃなくていいから。

 

小さなきみに会った時、みんなはこの仔をうちに迎えようって言ってた。私は、みんながそうならいいと思って、きみを迎えに行った。

ほんの小さな箱に入って、助手席の足元できゃんきゃん鳴いていたきみ。もうちょっとだからね。ごめんね。と声をかけ続けた。

 

うちに着いて部屋の中で歩くきみは最高にかわいくて、みんなでかまっていた。だんだん大きくなって、甘噛みがすごくて私の腕は青あざだらけになった。きみには悪気は全くなかったけど、もう一緒に暮らすのは無理だと思った。

 

そんな時、トレーナーさんと出会い、きみとの会話の仕方を教えてもらった。それでも、孤独な散歩は続いたけど、きみと私だけなら、遊びを楽しめるようになったよね。

 

大人になったきみは力も強くて、ジャンプも高くて、かっこいいけど甘えん坊で、走り回ると大変だったよ。

 

部屋のカーペットは掘りまくり、植木はみんな部屋中にまいて、テーブルの上の物も食べちゃうし、でも、陽気だったね。部屋中被毛だらけになって、この被毛が早く無くならないかなって思ってしまっていた。こんなに寂しいとはわからずに。

 

私たちが学んだことで、一緒に過ごしていけるようになり、今までもずっときみは話を伝えてくれてた事がよくわかった。留守番が上手になり、私はそれに甘えて、きみを長い時間ひとりぼっちにさせてしまったね。今、胸が痛いよ。

 

耳掃除が嫌いで、お風呂も嫌だから、クレートの奥でカラーが一番遠くなるように入り込んでいたね。捕まると諦めて、しっぽが後ろ脚の間に挟まるくらいしょんぼりしてたね。

終わるとご褒美をもらうまで私の後ろをついてきて、現金者だったよね。

 

家族に辛い想いをしてる人がいることにすぐに気づいて寄り添うきみ。誰にでも、分け隔てなく優しいきみ。ひどい扱いをされても、そんなことは根に持たず、優しくできるきみ。何度も涙を舐めてくれた。

 

 私と娘のケンカはボス同士のケンカと思って、クレートに一目散に逃げ込んでそっと様子を伺っていたね。もうそろそろいいかなって落ち着くと寄ってきて、すりすりしてたね。

 

10歳を過ぎてから引っ越しして、もう、あとどれくらい一緒いられるかなっていつもおびえていた。でも、そんな心配はよそに、たくさん歩いてくれて、たくさんの道を私たちに教えてくれたね。

歯に歯石がたまって、ヨダレが止まらなくなった時、もうダメかと思ったよ。でも、お医者さんも驚くほど、麻酔がかかりやすく冷めやすい仔で、綺麗に歯石を取ってもらえて元気になったね。

 

おしっこを机の下でジャーってして、呆けちゃったのかと諦めたけど、結局、また上手にトイレで出来る様になったのはすごいよね。

 

脚がだんだん弱って、歩くスピードはゆっくりになり、耳も遠くなって、眠る時間が長くなったね。

ある日、うんちをする時に腰が立たなくなって、泣きそうになったよ。おしっこを垂らして歩いてたり時にはうんちももらしたりもしたけど、生きてる証拠、元気ならいいと思ったよ。

 

逝ってしまう3日前までは歩いたり、おしっこをトイレでしようとしてくれた。 そして、あの日、そばにいればよかった。あの朝、あと少し早くきみのところへ行けば良かった。ごめんね。本当に一人にしてごめんね。辛く苦しいところは、見せずに逝ってしまった。

 

お散歩をもっとすれば良かった。面倒がらずにたくさん行けば良かった。もっと早く仕事から帰って来れば良かった。上司に嫌がられても。もっと、そばにいればよかった。もっと顔を見ればよかった。もっと一緒に遊べばよかった。もっともっともっともっと…

 

後悔と涙。 でも私はかわいそうな私を演じているだけかもしれない。食欲のない、かわいそうな私を。そんなに悲しんでるの?わからないよ。そんなに辛いの?わからないよ。

 

ただ、今、夕暮れ時にだんだん暗くなる部屋で、こんな中で毎日毎日家族を待ってくれていたの?寂しかったかな。外にいる仔よりは幸せだったかな?と何度も何度も考える。答えは出ないけど。